【序】
平成23年3月11日午後2時46分、東北地方太平洋沖地震発生時、私は外回りから帰社しゆっくりと昼食をとっているところだった。当初から大津波警報が発令され、液晶画面の向こう側では大騒ぎしていたが、どうやらいつもの地震よりはひどいようだ。まだその程度の認識であった。だが、食い入るように報道を見続けているうちに、とうとう第一波が到来する。なんだ、これは?そのトラック、早く逃げろ!どうなってるんだ?こんなことが現実に起こり得るのか?直感的に感じた。これは東北だけではない。日本全体が大変な危機に陥ることになると。
バブル崩壊から早20年、わずかな好景気の実感もないまま、新聞に躍る産業空洞化・デフレスパイラル・少子化等々、暗い単語の数々に、将来への希望をなかなか見出せないまま、我々は青年期を過ごしてきた。そこへ来て、この度の大震災、さらには原発事故である。いったい我が国は、故郷(ふるさと)はどうなってしまうのだろうか。
しかし、この状況下に於いても下を向いているわけにはいかない。我が国の先人たちは、どんな苦境からも立ち上がってきたではないか。
1949年9月、戦後日本の復興を目指し我が国に青年会議所運動の明かりが灯ってから13年後、からつにもJCが誕生した。時あたかも、高度経済成長の真只中であった。以来半世紀、先輩方は様々な苦難に誠実に向き合い、強固な心を持って挑戦を続けてこられた。それらの歴史の上に、現在のからつと我々の生活があり、2012年の唐津JCの活動が存在するのだ。
いつの時代も故郷を引き継ぎ、守り育てていくのは、我々青年世代の使命である。ならば引き受けよう。どんなに難しくとも、強くそして誠実な心を持って。
【まちづくり】
まちづくりを経済的な観点から見たとき、「観光」を外すことはできません。まちの外から人・もの・金を流入させることこそが経済の活性化につながります。
それでは肝心の受け入れ態勢はどうでしょうか。観光客に対し、堂々と「自分はからつのことを深く理解していて、あなたに紹介できる」という人が多いとは決して言えない現状があると考えます。
唐津くんちの熱狂に代表されるように、からつは特に郷土愛に溢れた地域であると確信します。美しい自然、豊富で新鮮な海の幸、山の幸。地域のそこかしこに大切に継承されてきた厳粛な祭の数々。それらを大切にする心を先人たちは我々に引き継いできてくれました。そして我々もまた、故郷と誠実に向き合い、その素晴らしさを次代に継承していく義務があります。そのためには当然、深い郷土愛が必要です。故郷に誠実に向き合って理解し愛する心を育んでいかなければ、貴重な地域の宝の数々は、いとも簡単に壊れてしまうものです。まずは我々自身が故郷をより深く理解し、周囲の人々に伝え、継承していかなければなりません。そして地域の宝の歴史と現状をよく理解することにより、初めて周りに発信することができ、観光都市からつが一層その魅力を増し、よりよいまちづくりにつながるのです。
【青少年育成】
地域の明日を担う子ども達の現状はどうでしょうか。遊び方の変化や治安の悪化、少子化等々の理由から、子ども達は野に出る機会が減り、一方で室内遊び、とりわけ仮想現実の世界にのめり込み、現実の困難に立ち向かう強い心を育む機会が減ってきているように思います。
コミュニティの希薄化が叫ばれて久しい昨今ですが、からつには家庭や学校だけでなく地域全体で子ども達と向き合い、その成長を見守ってきた伝統がまだまだ残っています。地域のつながりというこの大切な資源を生かすことで、子ども達の豊かな人間性を育むことに大きく寄与することができます。さらには子ども達が困難に立ち向かい克服していく機会を提供することにより、次の世代をたくましく真直ぐに育て、からつの明るい豊かな未来を作っていくことができます。これもまた、我々青年世代に課せられた大きな使命です。
【指導力開発・経営開発】
いくら我々が故郷と誠実に向き合いよく理解していても、その郷土愛を周囲の人に伝えるのは容易なことではありません。人柄だけでは不十分です。想いをきちんと伝える技術や、情報を順序立てて整理できる能力、あるいは地域でよきリーダーシップ、フォロワーシップを発揮してきた経験などがあれば、その説得力が厚みを増すことになります。本年度も積極的に多様な能力開発セミナーを開催します。唐津JCだけでなく、各種会員大会でも興味深いセミナーや講演が毎年多数開催されています。積極的に足を運びましょう。これらに参加できることは、我々JAYCEEの特権であり、きっと、今後あなたが広く社会において活躍できる人材として成長するための大きな手助けとなることでしょう。ぜひとも自分自身を成長させるということに誠実に向き合ってみてください。
【交流・発信】
内にばかり目を向けていたのでは、まちも我々も閉鎖的になってしまいます。外の世界へ目を向けてみましょう。
昨年は麗水青年会議所との姉妹締結40周年を迎え、締結当時の困難や数々の交流の歴史を知ることで、互いの友情を再確認し、より強固なものにすることができました。40年の友情はJCだけでなく広く市民にも広まっていきました。本年開催される麗水EXPOを契機に、市民同士の絆をより一層深め、JCメンバー、そして市民が国際感覚を養う大きな機会とします。
同時に(社)姫路青年会議所との交流も姉妹締結45周年を迎えました。姫路JCは常に我々のよき手本であり、そのメンバーとの交流は本当に刺激になります。もちろん我々唐津JCも相手に刺激を与えることのできる存在でなければなりません。麗水JC、姫路JCともに、楽しく和気藹藹の中にも緊張感を持った交流事業に、ぜひとも多くのメンバーで参加し、唐津JCの魅力を大いに発信しましょう。
とりわけ佐賀ブロック・九州地区、さらには日本JC本会への出向を強く推進します。唐津JC約100名、佐賀ブロック協議会約400名、九州地区協議会約4,000名、日本JC全体で約35,000名、そして世界にはおよそ17万名ものJAYCEEが活躍しています。一歩外に踏み出してみましょう。あなたを成長させてくれる多くの気づきとよき友人が待っています。
本年度はさらなる唐津JCメンバーの進出を積極的に推進し、よいところをどんどん取り込み、またからつらしさを存分に外部へ発信していきます。
【新たな唐津JCへ】
2012年度は唐津JCが創立50周年を迎え、また公益法人法の改正に伴い新たな法人格へ移行しなければならない、とても大きな意味をなす年となります。
目標を見据えて唯々前進し突き進む様は、青年らしく勇ましく見え、またそうできることは青年の特権であるのかもしれません。しかし一方でやや使い古された感もある「温故知新」という言葉があります。先人が積み重ねてきた経験や知識をしっかりと学び、これに習熟した上で新しいことを学ぶことが肝要であるという非常に含蓄に富んだ孔子の言葉であります。我々現役メンバーには、50年という歳月を積み重ねた唐津JCの先輩方の経験を誠実に学ぶ義務があります。そうした上でなければ、我々が語るこの先10年、50年の未来図は空虚なものにしかなりえません。
2012年、我々唐津JCは、50年の長い歴史を詳細に分析し総括した上で、大きなそして確信を持ったからつの未来図を、行政に、さらにはまちの人々に提言します。先輩方の偉業に感謝の念を新たにするとともに、さらなる実働を約束した上で、新たなそして大きな一歩を踏み出します。 |